修繕費と資本的支出に係る判定手続フローチャート

経理実務で頭を悩まされる論点の一つである修繕費と資本的支出の判定。

 

修繕費となれば一時費用となり、資本的支出となれば固定資産となりますが、固定資産とするのではなく一時費用として処理ができれば直ちに費用となるため可能であれば修繕費として処理をしたいところです。

 

この判定については次のフローチャートで判断をしていきましょう。

 

 

(20万円未満または周期の短い支出であるか)

周期の短い支出は、その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合とされています。

 

(明らかに資本的支出か)

次に掲げるような金額は資本的支出に該当するものとして例示されています。

①建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額

②用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額

③機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。

③に該当するような場合には、通常の取替費用(同等の品質等の部分品と取り替えた場合の費用)と実際に掛かった費用との差額を資本的支出として適正に区分する必要があるため、通常の取替費用に係る見積書等を入手し、保管しておく必要があります。

 

(明らかに修繕費か)

次に掲げるような金額は修繕費に該当するものとして例示されています。

①建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。

②機械装置の移設(7-3-12《集中生産を行う等のための機械装置の移設費》の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額

③地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。

イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合

ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合

ハ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合

④建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。

⑤現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額

 

(60万円未満か)

一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が60万円に満たない場合は修繕費として損金経理することができるとされています。

 

(前期末取得価額の10%未満か)

一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合は修繕費として損金経理することができるとされています。