【初心者向け】経理に配属・異動となった日からするべきこと

 

企業に勤めていれば予期せぬ配属や異動を経験することがあります。

 

「えっ、営業になると思っていたのに…」

「経理って…今まで別の仕事をしていたのに何をすればいいの?」

「経理か~、実は細かい数字とか苦手なんだよね~。」

 

このように経理へと予期せず異動や配属された方に向けての記事になります。

 

この記事では次の2つを紹介します。

 

経理の仕事内容

経理として必要なスキル

 

その上で 今すぐやるべきこと も紹介します。

 

予期せぬ配属や異動で不安の多い日々をお過ごしかと思います。

 

ただ、未経験から経理に転職することは非常に難しいという事実から考えると、このような配属や異動はチャンスであると捉えることもできます。

 

経理のスキルは経理として生き残っていく以外にも使い道のあるスキルです。

 

ぜひこのチャンスをいかしていきましょう。

 

経理の仕事内容とは?

 

 

経理の仕事内容はどのようなものがあるのでしょうか。

 

経理と関わりのある部署の方であればある程度のイメージがつくのかもしれません。

 

ただ、新卒であったり経理と関わりのある部署の方でなければ数字を扱う部署というぐらいしかイメージがつかないのではないでしょうか。

 

経理の仕事内容は、会社における日々の取引を数値化して正確に記録したり、会社のお金を管理したり、経営者や企業の利害関係者に会社の状況を報告したりといった様々なものがあります。

 

例えば商品の仕入れを100円で行い、その商品を200円で売り上げたという取引があった場合には、それを次のような仕訳というかたちで記録をします。

 

商品の仕入            (借方) 仕入 100 / (貸方) 現金 100
商品の売上            (借方) 現金 200 / (貸方) 売上 200

 

このような日々の取引を仕訳というかたちで記録をし続け、会社の資産や負債、純資産などの財政状態や収益や費用、当期純利益などの経営成績を把握し、経営者や企業の利害関係者に会社の状況を報告するといったことを行っています。

 

貸借対照表(財政状態)
資産 負債
純資産

※ 負債と純資産で資金をどのように集めたか、資産でその資金をどのように使っているのかを示します。

 

損益計算書(経営成績)
費用 収益
当期純利益

※ 収益でどれだけ稼いでいるのか、費用でどれだけ使ったのか、当期純利益でその結果いくら残っているのかを示します。

 

日々の取引を数値化して記録するといった業務だけではなく、経理の仕事には一定のサイクルがあり、日次業務、月次業務、年次業務などがあります。

 

最も短いものが毎日の処理である日次業務、その次に短いものが月に1回の処理である月次業務、最も長いものが1年間に1回の処理である年次業務となっています。

 

 

経理の仕事内容として代表的なもの

 

 

経理の仕事内容として代表的なものは次のものになります。

 

・預金管理
・資金調達、運用
・経費精算
・債権管理
・固定資産管理
・月次決算
・原価管理
・四半期、年次決算
・連結決算
・開示
・税務申告
・監査対応
・M&A関連
・移転価格税制対応

 

これらすべてを網羅して業務をすることは業務量や難易度といった観点から非常に難しいものとなります。

 

そのため、これらすべてを一人で任されるということは極めて稀なケースとなります。

 

一般的には部署が分かれていたり、その部署の中でも担当が分かれていたりするため、これらの仕事の一部を担当するということが大半を占めます。

 

この担当範囲については一般的に企業規模が大きくなればなるほど狭くなっており、逆に小さくなればなるほどが広くなっています。

 

企業規模 担当範囲
中小企業 経理のみならず総務を兼ねているケースもあり、担当範囲としては非常に広い
上場企業の子会社・関連会社 中小企業と大企業の間といったところで、会社にもよるが担当範囲としては中小企業よりは狭く、大企業よりは広い
大企業(上場企業など) 経理だけでも単体、連結、税務、財務などで部署が分かれており、担当範囲としては非常に狭い
外資系企業 上場企業の子会社・関連会社と同等の担当範囲となるが、それに加えて語学力が必須となる

 

経理の仕事の流れ

 

 

経理の仕事の流れはどのようになっているのでしょうか。

 

経理の仕事には一定のサイクルがあり、日次業務、月次業務、年次業務などがあります。

 

サイクル 仕事内容
日次業務 預金管理、経費精算、伝票の起票など
月次業務 月次決算に関する業務など
年次業務 決算書の作成、税務申告など

 

日次業務は日々の取引を記録するために毎日行う業務となります。

 

預金管理や経費精算、伝票の起票といったものを主に行うこととなります。

 

単純な処理が多くはなりますが、この日次業務の処理の精度が月次業務や年次業務に影響をしていきますのでミスなく処理を行う必要があります。

 

月次業務は1月に1回行う業務となります。

 

担当範囲により異なりますが、月次決算に関する業務を行うこととなります。

 

月次決算により確定された数値は経営判断の材料として利用されたり、業績評価の指標として利用されたり、様々なものに活用されていくこととなります。

 

この月次業務の処理の精度は年次業務に直結していきますのでこちらもミスなく処理を行う必要のある重要なものとなります。

 

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年次業務は1年に1回行う業務となります。

 

決算書の作成や税務申告など法律により義務付けられているものが業務の多くを占めます。

 

年次決算により確定された数値は外部に公表されたり、税金計算の基礎となったりするため非常に重要なものとなります。

 

日次業務や月次業務と大きく異なる点としては、ミスが許されず、ミスをした場合には何らかのペナルティがあることです。

 

例えば税金計算の基礎となる数値が誤っていた場合には、税金の納付が不足しているとして追徴税額が課されるなどといったことも発生する可能性があります。

 

日次業務や月次業務もミスが許されるというものではないですが、あくまでも社内という範囲での出来事であることが多いです。

 

年次業務は社外に対するものという側面がつよいため、ミスをした場合には社内という範囲でとどまらず、社外にも影響する可能性がありますのでミスなく処理をする必要があります。

 

この年次業務が1年に一回しか経験できないため、初めて経理を担当する人にとっては覚えにくかったり馴染みにくく感じ、難しいと感じる要因となるものではないかと思います。

 

 

経理として必要なスキルとは?

 

 

経理は専門職となりますので、経理全般の知識というものが必要となります。

 

簿記の知識だけではなく一般的な商取引の流れや業界特有の慣行なども実務では知識として必要となりますので、経理全般の知識というものは幅広い知識が必要とされます。

 

これらの知識も一度覚えれば完了というものではなく改正などがあれば都度知識をアップデートする必要があります。

 

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また、業務においてはパソコンを使用する機会が多いため、基本的なパソコンスキルも必要となります。

 

パソコンを使用する機会としては次のようなものが想定されます。

 

使用する機会 使用するソフト
伝票の起票 会計システム( SAP 、弥生会計、勘定奉行など)
分析資料の作成 Excel
議事録の作成 Word
提案書、報告書の作成 PowerPoint

 

使用するソフトで圧倒的に多いものは 会計ソフト と Excel になります。

 

この内、 Excel についてはどの職場でも経理のパソコンスキルとして活かすことができるものとなりますので優先してスキルを磨いていきましょう。

 

Excel で使用する関数として覚えておいた方がよいものは次の通りです。

 

関数 使用する場面
SUBTOTAL フィルターなどで参照している範囲のみの合計などを算出
VLOOKUP 参照するデータから検索条件に一致するものを抽出
SUMIF 参照するデータから検索条件に一致するものを抽出して合計を算出

 

関数以外にもフィルターやピポットテーブルなどがよく使われますのでこちらも使用できるようにしていきましょう。

 

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経理はルーティン業務が多いといった特徴もありますので Excel マクロや RPA といったものとも相性が良く、このような知識があれば業務を効率的に進めることができるのでこちらも使用できるようにしていきましょう。

 

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経理は黙々とパソコンに向かって作業をしているというイメージの方もいらっしゃるかもしれません。

 

事務系職種であるためパソコンでの作業時間は多くなりますが、確認や依頼なども業務では必要なので他者とのやりとりが発生します。

 

業務の相手が限定的ではありますがコミュニケーションをとって業務をしている必要がありますので、コミュニケーションスキルも必要となります。

 

 

簿記の知識はほぼ必須

 

 

経理として必要なスキルは、まず簿記の知識というものがあげられます。

 

簿記の知識は簿記検定の資格などが一定の目安となります。

 

実務では日商簿記2級の資格があれば一定の簿記の知識を有していると判断されるケースが多いので、まずは日商簿記3級からはじめて日商簿記2級の資格を目指しましょう。

 

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知識だけではなく業務に対する姿勢も大切

 

 

簿記の知識は必要ですが、ただ簿記の知識だけがあればいいということではありません。

 

経理には新卒や未経験で簿記の知識がない状態から配属や異動をされてきて活躍していらっしゃる方もたくさんいます。

 

このような方々に共通するスキルとしては業務に対する真摯な姿勢というものです。

 

1つ1つの業務をきちんと理解しようとしたり、小さな業務も正確に確実に行ったりしているその姿を先輩経理社員たちは見ています。

 

そのため、このような方は先輩経理社員から「これからも一緒に働きたい」「しっかりと成長していってもらいたい」と思われ、業務で良い経験を積ませてくれるでしょう。

 

先輩経理社員から学ぶという謙虚で学習意欲が高い人は経理のみならず、どのような部署でも重宝されます。

 

簿記の知識がどれだけあっても業務に対する姿勢がよくなければ経理として活躍することは難しくなりますので、業務に対する姿勢もしっかりと整えておきましょう。

 

 

仕事をミスなく処理し、かつ、利益に貢献ができれば言うことなし

 

 

そして最後に必要なスキルが減点を防ぎ、加点を獲得するスキルです。

 

経理の仕事はミスが許されない仕事であり、そのため仕事はどうしても減点方式で評価がされやすくなります。

 

そこでミスを行わず、かつ、利益に対して貢献をする提案や業務改善などを行うことができれば、減点を防ぎ、加点を獲得する結果となり、良い評価を獲得することができます。

 

このような評価を獲得するためには一朝一夕では難しく、普段の業務から常によりよい成果を生み出せるように取り組む必要があります。

 

成果をあげるためにスキルを磨き、そのスキルを活かして成果をあげる、経理で活躍している人はこのような好循環の中で業務を行っている人がたくさんいます。

 

その一人となれるように、ぜひスキルを磨いていきましょう。

 

 

今すぐやるべきこと

 

今すぐやるべきこととしてはどのようなものがあるのでしょうか。

 

ここでは持ち物として準備するべきものから知識として準備するべきものまでを紹介します。

 

電卓を用意しよう

 

経理として業務を行う上で必須のアイテムが電卓です。

 

日々の業務での数値のチェックや会議などで即座に計算して数値の回答をするケースなど様々な場面で使用します。

 

会社では扱う金額が大きくなりますので、12桁以上の電卓を用意しましょう。

 

デスクスペースが限られていることや移動などで持ち運ぶ機会があることを考えると大き過ぎるものは避けた方が無難です。

 

ただ小さければ小さい程よいということはなく、見やすさであったり操作のしやすさを考えてベストなサイズを選びましょう。

 

経理担当者の中では定数計算の方法が異なるため CASIO 派と SHARP 派に分かれることが多いですが、機能としては大差がなくどちらのメーカーの電卓を選んでも問題ありません。

 

値段に応じて機能が異なりますが、代表的なものは次の通りです。

 

・キーロールオーバー機能
・滑り止め
・サイレントキー機能
・税抜、税込キー
・ GT キー

 

経理実務から資格試験まで末永く愛用できるものとしておすすめは次の2機種です。

 

CASIO … JS-20WK

 

 

 

SHARP … EL-G37

 

 

 

会社によっては支給されることもありますが、今後もずっと使用していくと考えるのであれば使い心地のよいものを自分で購入しましょう。

 

 

簿記検定の勉強を始めよう

 

次に簿記検定の資格の勉強も始めましょう。

 

日商簿記2級からはじめられる方もいますが、3級から2級へとステップアップする方法が一般的です。

 

資格スクールのパンフレットなどに記載されている合格までに必要な勉強時間は、日商簿記3級で100時間、日商簿記2級で300時間となっています。

 

毎日1時間の勉強をすると仮定した場合、日商簿記3級では約3ヶ月、日商簿記2級では約10ヶ月程度が必要な計算となります。

 

意外と資格の取得までに時間がかかりますので早めに勉強をスタートをする方が良いでしょう。

 

独学でも資格の取得は可能ですが「独学では合格できるか不安だ」「安定したペースで勉強を進めたい」「確実に合格をしたい」といった方は資格スクールに通学したり通信教育を受講することをおすすめします。

 

会計の勉強も始めよう

 

簿記検定の資格の勉強と並行して、簿記だけでは勉強できない会計の勉強もしましょう。

 

会計の勉強でおすすめは経理担当者以外の一般の方に向けた会計の書籍を読むということです。

 

簿記の知識があまりなくても読み進められ、かつ、会計の考え方というものを理解するのに役立ちます。

 

おすすめの書籍としては『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問からはじめる会計学』す。

 

ミリオンセラーとなった有名な書籍で、日常の些細な疑問から会計学に触れており、簿記の知識がなくても会計の本質であったり、面白さというものを学ぶことができます。

 

こういったもので慣れてから徐々に経理担当者向けの書籍を読むことがおすすめです。

 

様々な勉強が必要となりますが慣れるまでの最初が一番大変で、慣れてくれば自然とできるようになります。

 

 

まとめ

 

経理の仕事内容、経理として必要なスキル、今すぐやるべきことを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

 

初心者が経理として生き残っていくためには、経理についての知識はもちろんのこと、謙虚さや素直さというものも必要となってきます。

 

1年間に1回しか経験ができない年次業務があり、一通りの業務に慣れるためには3年間程度の経験が必要だと言われていますが、その中でもやはり最初の1年間は覚えることも多く非常に大変です。

 

この1年を乗り越えることができれば業務に慣れてはいなくても未経験の業務といったものは少なくなるはずなので負担は大きく減少します。

 

そのため、まず1年間をしっかりと乗り越えるということを目標に、経理についての知識を独自で学びながら、実務にも一生懸命取り組んでみてください。