日商簿記3級の難易度や勉強方法は?独学でも合格可能?
日商簿記3級の難易度や勉強方法はどのようなものになるのでしょうか。
そして日商簿記3級は独学で合格が可能なのでしょうか。
「経理になったので日商簿記3級の資格を取得して簿記の知識を向上させたい。」
「経理に転職したいので日商簿記3級の資格を取得したい。」
「社会人必須の資格なのか…よし、日商簿記3級の勉強してみよう。」
このように日商簿記3級の資格を取得したい方に向けての記事になります。
この記事では主に次の3つを紹介します。
日商簿記3級の資格を取得することは様々なメリットがあります。
経理を目指している人やすでに経理として働いている人には就職や転職といった面でメリットがあるでしょう。
このような人以外であっても簿記の知識は社会人必須ともいわれているため、ビジネスで役に立つ機会が多くメリットがあるでしょう。
経理であってもそうでなくても簿記の知識は役に立つ機会が多いですが、その知識を客観的に証明することは簡単ではありません。
その知識を客観的に証明することができるのは、やはり日商簿記検定などの資格です。
ぜひ日商簿記3級の資格を取得して、簿記の勉強で得た知識を成果として形に残しましょう。
日商簿記3級の難易度
日商簿記3級の難易度はどのようなものになるのでしょうか。
主催している日本商工会議所が公表している第149回(2018年6月10日)から第158回(2021年6月13日)までの直近10回の試験における実受験者数と合格率は次のとおりとなっています。
回 | 実受験者数 | 合格率 |
158回 | 49,313名 | 28.90% |
157回 | 59,747名 | 67.20% |
156回 | 64,655名 | 47.40% |
155回 | 中止 | |
154回 | 76,896名 | 49.10% |
153回 | 80,130名 | 43.10% |
152回 | 72,435名 | 56.10% |
151回 | 80,360名 | 55.10% |
150回 | 88,774名 | 43.80% |
149回 | 79,421名 | 44.30% |
合計 | 651,731名 | 48.53% |
合格率が最も低い回で 28.90% 、最も高い回で 67.20% となっており、直近10回で見た場合の実受験者数に対する合格率は 48.53% となっています。
難関資格といわれる資格試験の合格率が概ね 5% から 20% 程度なので合格率だけで比較した場合には難易度は高くない試験だといえるでしょう。
試験は年3回(6月、11月、2月)のペーパーで実施される「統一試験方式」に加え、パソコンで随時実施される「ネット試験方式」、さらに団体試験を申請した企業・教育機関等の社員・学生を対象にペーパーで随時実施される「団体試験方式」の3つの方式で実施されます。
統一試験方式 | ネット試験方式 | 団体試験方式 | |
受験日 | 年3回(6月、11月、2月) | テストセンターが定める試験日時 | 商工会議所と調整のうえ、定めた日時 |
受験地 | 商工会議所が定めた試験会場 | テストセンター | 企業・教育機関等で準備した試験会場 |
実施方法 | ペーパー | パソコン | ペーパー |
どちらの方式でも不公平がないように問題の量や難易度が調整されていると考えられますので、方式の違いによる合格への影響はほとんどありません。
試験時間は60分、試験科目は商業簿記で出題問題数は3題以内、合格基準は100点満点中70点以上で合格となります。
70%以上の正解が必要となりますが基本的な簿記の知識を問われるといった内容が多いため、基礎を重視して簿記の問題を繰り返し解くといった準備がしっかりとできていれば合格することができます。
資格スクールのパンフレットなどに記載されている合格までに必要な勉強時間は100時間となっているため、毎日1時間の勉強をすると仮定した場合には約3ヶ月程度の学習が必要とされます。
このようにある程度の学習期間が必要となっていますので、統一試験方式での受験を考えている場合には試験の実施日とそれまでに確保できる勉強時間を踏まえて試験の申込みを行いましょう。
日商簿記3級の勉強方法
日商簿記3級の勉強方法はどのようなものになるのでしょうか。
テキストや問題集を購入し独学する方法や資格スクールに通学する方法、通信講座を受講する方法などがあります。
いずれの方法であっても学習の流れとしては次の3つのステップで進んでいくこととなります。
簿記の世界では「習うより慣れろ」といわれる言葉があり、問題をどんどん解くことにより自然とできるようになるという考え方が存在します。
この考え方が必ずしも正解だとは言い切れないですが、このような側面は確かにあると考えられます。
重要な点はアウトプットであり、アウトプットにより「なぜ間違えたのか」「なにを理解できていないのか」といったことが明確になり、これらを1つずつ網羅していくことで簿記の知識が確かなものとなり解答のスピードもあがっていきます。
テキストは一度ですべてを理解するという考え方で進めていくのではなく、とりあえず全体を読んで問題を解きながらわからないとことがあれば再度テキストに戻るといった考え方で進めていきましょう。
STEP1 テキストを読む、理解する
日商簿記3級のテキストはどのようなものを選んでどのように進めていけばよいのでしょうか。
ここではテキストの選び方と進め方を紹介します。
テキストの選び方
まずテキストは最新の出題範囲に対応し、本試験レベルの問題が載っているものを選びましょう。
書店で販売されている売れ筋のテキストであればこの辺りは特に気にしなくてもよいでしょう。
次に具体例や表、図などのイラストが豊富であったり親切でわかりやすいものを選びましょう。
簿記の世界は馴染みにくいものであるため、その馴染みにくさで挫折をしてしまうといったことも少なくありません。
挫折することを避けるためにもテキストは楽しく勉強が続けられるようなものがよいでしょう。
最後にアウトプットをベースとしたテキストを選びましょう。
簿記で重要な点はアウトプットであり、アウトプットにより「なぜ間違えたのか」「なにを理解できていないのか」といったことが明確になり、これらを1つずつ網羅していくことで簿記の知識が確かなものとなり解答のスピードもあがっていきます。
短期間で合格をするということを考えた場合には、このアウトプットをベースとしたテキストは効率がよくおすすめです。
以上の3点を網羅したおすすめのテキストとしては『スッキリわかる 日商簿記3級 第12版 [テキスト&問題集]』です。
問題集が収録されており、このテキスト1冊で日商簿記3級の学習が完了できるようになっています。
このように充実した内容ですが価格は他のテキストよりも安く1,100円といったところもおすすめの点です。
テキストの進め方
テキストの進め方ですが、一度ですべてを理解するという考え方で進めていくのではなく、とりあえず全体を読んで問題を解きながらわからないとことがあれば再度テキストに戻るといった考え方で進めていきましょう。
簿記で重要な点はアウトプットになります。
アウトプットにより「なぜ間違えたのか」「なにを理解できていないのか」といったことが明確になり、これらを1つずつ網羅していくことで簿記の知識が確かなものとなり解答のスピードもあがっていきます。
インプットをだらだらとやってしまうと合格までに必要な勉強時間が長くなってしまいますので注意が必要です。
STEP2 問題を解く
日商簿記3級の問題はどのように解いていけばよいのでしょうか。
アウトプットは簿記において非常に重要なものです。
簿記の学習は仕訳で始まり仕訳で終わります。
複雑でボリュームの多い問題であってもそれらはあくまでも1つ1つの仕訳からできているものであり、これらの仕訳を正確にすることができれば解答が可能です。
正確にいえば仕訳をすることができるだけでは解答できずその結果を正しく集計することが求められますが、仕訳というものが解答へのポイントとなることは間違いないでしょう。
この仕訳を素早く正確にすることができるようになるためにはアウトプットを中心とした反復練習が必要となります。
ここまでアウトプットの重要性について説明をしましたが、どのようにアウトプットをすればよいのでしょうか。
仕訳をするというアウトプットはスキマ時間を活用することがおすすめです。
経理の方以外であれば日常生活において仕訳というものに触れる機会がないため、勉強をした内容についてはすぐに忘れてしまう可能性が高くなります。
そのため忘れたものを思い出すといった作業が必要となりますが、その思い出したものについてもまた忘れてしまうことになります。
この「忘れる」から「思い出す」といったサイクルが短くなればなるほど知識として定着しやすくなるため、触れる頻度を高くすることができるスキマ時間の活用がおすすめとなります。
このサイクルの中で「理解する」といったことができれば知識としての定着が確固たるものになりますので理解できるようにしていきましょう。
自分の言葉で他人にその仕訳の理由をしっかりと説明できるのであれば、知識として定着をしているといえるのではないかと思います。
計算をしたり集計をしたりというアウトプットは机に向かってまとまった時間を活用することがおすすめです。
簿記の学習は仕訳で始まり仕訳で終わりますが、計算や集計にはこれとは別の能力が必要となります。
正しく計算や集計ができるかどうかに必要なものは集中力です。
集中力を高めるためには集中して勉強することが効果的であるため、机に向かって集中することができるまとまった時間の活用がおすすめとなります。
STEP3 予想問題集を解く
アウトプットの総仕上げとして予想問題集を解きましょう。
テキストに付属している問題集のみの学習で合格をする人もいますが合格を確実なものにするためには予想問題集を解くべきです。
日商簿記3級であれば合格する人と合格しない人の差はここまで勉強できたかどうかだと考えられます。
ここまで勉強をしなくても合格をする人はいるかと思いますが、ここまで勉強をした人は必ず合格できている試験だからこそ合格率が40~50%といった数値になるのだと思います。
ここまでの簿記の勉強で得た知識を合格という形に残すためにもぜひ予想問題集は解いていきましょう。
資格試験では過去問題集を解くといったことが合格への近道となり、過去問題集から勉強をスタートをするといった勉強方法も存在するほど過去問題集が活用されています。
日商簿記3級においてもこのような勉強方法をすすめるといったケースが見受けられますがおすすめはしません。
理由としては出題形式などが大きく異なっており、過去問題集を解く一番の利点である本試験と同様の形式で問題に慣れるといった有効性が薄れているためです。
新試験の実施回数が積み重なってくれば過去問題集の有効性も増してくると考えられますが、現時点では過去問題集よりも予想問題集を解くという方が有効性が高くおすすめです。
日商簿記3級は独学でも合格が可能か
日商簿記3級は独学でも合格が可能なのでしょうか。
日商簿記3級の勉強方法が独学をベースに紹介しているように、結論としては 独学で合格が可能 となっています。
ただ「独学では合格できるか不安だ」「安定したペースで勉強を進めたい」「確実に合格をしたい」といった方は資格スクールに通学したり通信教育を受講することをおすすめします。
数千円程度のテキストなどを購入して勉強しても合格する試験ではありますが、試験への合格ということのみを考えた場合には資格スクールや通信教育の情報やノウハウであったりするものはやはり優位性があります。
独学で合格するということが目的でないのであれば資格スクールや通信教育の活用は簿記の知識を体系的に取得することができたりと合格という結果以外でも優れている点はありますので経理としてキャリアを積んでいくといった場合には積極的に検討をしてもよいでしょう。
まとめ
日商簿記3級の難易度、勉強方法、独学でも可能かどうかを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
難易度としては高くはありませんが、半数が不合格となる試験で決して簡単だというものではありません。
独学でも合格は可能ですが、正しい勉強方法で十分な量の問題を解いてはじめて合格できる試験です。
結果がついてきやすい試験ではあるので万全の状態で臨めるようにしていきましょう。
日商簿記3級は簿記の入門資格として位置づけられており、ここで学んだ簿記の知識は経理であってもそうでなくても役に立つ機会が多く、資格を取得することで多くのメリットがあります。
経理でない方であれば日商簿記3級の資格を取得することで十分かと思いますが、経理であれば日商簿記3級の資格で満足をせずにより難易度の高い日商簿記2級の資格を取得することを目指していきましょう。
日商簿記2級で簿記の知識を深めていくことで経理としての専門性もより高くなると考えられます。
高い専門性を持つ人材が市場価値のある人材となりますので、自身の市場価値を高めるためにも日商簿記3級の知識を基礎としてステップアップをしていきましょう。